●NHKの番組「人間は尊敬すべきもの・・・」
今日の夜放送された、NHKの番組・・・。
番組で流された映像・・・、いままで何度も社会同和教育の会場で見せられた、同和問題の啓発映画以外の何ものでもありません。
息の抜けたサイダーのようなもの・・・。ほのかな甘味は残っているものの、のどを通り過ぎるときの、あのサイダーの刺激的な泡立ちはありません。
こういう映像・・・、何度放映しても、部落差別は解消することはないでしょう。
なぜなら、この番組の最初から最後まで、近代中央集権国家・明治天皇制国家において、「特殊部落」を創出してきた権力の側の責任をほとんど一切免罪しているからです。そして、「特殊部落」に対する差別の原因を民衆の側に一方的に押しつけているからです。
今日の夜放映されたNHKの番組・・・、その番組の背景にも、差別思想である「賤民史観」と「愚民論」が存在しています。人権感覚に富んだ国家権力や知識階級・中産階級に属する人々は「特殊部落」を差別することはないが、過去の慣習から自由になれない、人権感覚にとぼしい民衆が差別し続けている・・・、そう主張しています。
今日の夜は、春の冷たい雨が降っていますが、今日の夜放映されたNHKの番組の映像と雰囲気が似ています。
『悪あがきのすすめ』の辛淑玉さんがいわれる、「絵に描いたような「美しい被害者」」・・・、<絵に描いたような美しい被差別部落民>を描こうとしているように思われます。
大切なのは、歴史の<真実を描く>ことであって、<美しく描く>ことではないのでないでしょうか・・・?
「部落の人の血はけがれている・・・」という言葉ですら、春の夜の冷たい雨のように、悲しみの色で描き、なぜ、そのような発想が生まれ、部落の人が差別されるようになったのか、一言もメスを入れることをしなかったのでしょうか・・・?
そのため、この番組を見た人々のこころの中に、「部落の人の血はけがれている・・・」というイメージが浸透していく可能性があるということを予測することもできなかったのでしょうか・・・?
同じ同和問題の啓発について放映するにしても、「部落の人の血はけがれていない・・・」となぜ科学的に論証しなかったのでしょうか・・・?
「人の世に熱あれ、人間に光あれ。」の西光万吉のことばを換骨奪胎させて、「人の世」から、日本によって植民地化された朝鮮や台湾を外させ、「人間」から、朝鮮人や台湾人を疎外させた、戦前の国家権力の責任について、なぜ、ひとことも言及されてなかったのでしょうか・・・。
今日の春の夜の雨・・・、ほんとうに暗くて冷たい雨となりました。
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