2008年5月31日 (土)

●アイヌ民族決議・・・

今朝の朝日新聞に、30行の小さな記事がありました。

記事の題は、「アイヌ民族決議、採択へ」

その記事、「アイヌ民族を先住民族として認め、アイヌ政策の推進を政府に求める国会決議が今国会で採択される見通しとなった。・・・」という言葉ではじまります。

「超党派の「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」が決議文案を一部修正した結果、自民など各党が受け入れる方向となった」と続きます。

「一部修正」とは何なのか・・・?

それは、「アイヌの人々が労働力として拘束、収奪されたため、その社会や文化の破壊が進み、『同化政策』により伝統的な生活が制限、禁止された」などの記述は削除した。」ことを指すらしい・・・。

アイヌ差別に対する権力への免罪の宣言とも考えられます。

削除されたのは、近代中央集権国家・明治天皇制国家による、アイヌ民族の強引な同化政策に関する文言のようです。

筆者、無学歴・無資格故、<アイヌ差別>についてはほとんど資料を持ち合わせていないのですが、筆者には、今回の「アイヌ民族決議」・・・、戦後の同和対策審議会答申成立の経過に似通った過程をたどっていると思われます。アイヌ差別の原因は、極めて政治的・経済的・外向的な問題で、なぜ、近代中央集権国家・明治天皇制国家においてアイヌが差別・排除されるようになったのかは、根本的な解明が必要です。

しかし、今回の「アイヌ民族決議、採択」、それを避けて通った・・・、というのですから、筆者の心中、穏やかではありません。

喜田貞吉は、1928年(昭和3)、雑誌『東北文化研究』で、「アイヌは消えてしまう運命を持つ」と表現しています。そして、こう続けます。「しかしながらアイヌが消えると申しましても、アイヌ人そのものが滅亡し、世の中から失われてしまうのではありません。次第に日本民族の仲間になってしまって、もはやアイヌとしての民族的存在がなくなってしまうのであります」。

喜田貞吉がそのように語ってから80年目の2008年(平成20)、「アイヌ民族を先住民族として認め、アイヌ政策の推進を政府に求める国会決議が今国会で採択される見通しとなった」。喜田貞吉の予想に反して、「アイヌの民族的存在」が日本の社会の中に受容されるようになりました。

日本の歴史学に内在する差別思想である「賤民史観」の担い手の一人であった喜田貞吉、喜田貞吉の思想の時代的<特殊性>が明らかにされ、「被差別部落」の人々に対して、「特殊部落」として認識してきた、部落史の学者・研究者・教育者としての<犯罪性>が明らかにされる日も遠い日のことではないでしょう。

「運動団体」の政治闘争・行政闘争への指向性はともかく、部落史の学者・研究者・教育者は、近代中央集権国家・明治天皇制国家の政治・経済・外交などの諸問題によって意図的に構築された差別システムについて、不問に付すようなことがあってはならないと思います。

筆者にとっては、希望と失望が微妙に交錯する「アイヌ民族決議、採択」の報道でした。

もし、違星北斗が現在も生きていたとしたら、違星北斗、この「アイヌ民族決議、採択」をどのように受け止めるのでしょうか・・・?

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