●信州・由布姫の末裔の方から春の便り・・・
小泉首相の行政改革で一番最初に切り捨てられた公共事業に、「女性就業センター」というのがありました。
筆者、牧師をしながら、情報処理を副業にしていましたが、山口にあったNTTとNHK共同出資の人材派遣会社から、山口県東部産業技術学校と山口県東部女性就業センターのパソコンの講師を依頼され、10年間に渡って、両方の受講生あわせて、約1000人の方々にパソコンの操作を指導していました。
MSDOSの時代からWindowsの時代まで・・・。
「男女共同参画社会は実現した、女性だけを対象にした就労のための資格取得講座はもう必要がない・・・」、として、小泉首相の行政改革で、全国の女性就業センターは、それぞれの地域の活性化の必要性を無視して、全国一律に閉鎖されたのでした。
女性就業センターのパソコンの講師・・・、ほとんどが女性でしたが、一番多く講座を担当していたのが、男性である筆者でした。女性の講師の中には、筆者の受講生もいました。所長から、受講生の中から講師を養成してほしい・・・、と依頼されていためです。
女性就業センター閉鎖後、彼女たちの<職場>をどうするのか・・・。狭いポストを確保するために、男性である筆者がその世界から身を引くことになりました。
それまで、女性の再就職のために労していた筆者が、彼女たちを押し退けて、数が少なくなったポストに居すわることにためらいがあったためです。
筆者、受講生の方々からときどき、お便りをいただくことがありますが、今日届いた「春の便り」は、戦国時代の信州諏訪の由布姫の末裔の方・・・。
「あるレストランの壁にかかっていた詩で、題名は思い出せませんが、坂村さんのよい文章がありましたので、メモを見つつパソコンで打ち出しました。老眼鏡の度がすすみ、その他、年を感じるこのごろ、先生は、ひょっとしたら還暦も近いことと思われます・・・」という添え書きと一緒に、坂村真民の詩が同封されていました。
老いることは
鳥のように
天に近くなること
花のように
しだれ柳のように
自然に頭の下がること
老いることがこんなに楽しいとは
知らなかった
この詩、なにか、風林火山の響きに似ています。
疾きこと
風の如く、
徐かなること
林の如く、
・・・・
現代の由布姫さんのこころに、同じ響きが届いたのでしょうか・・・。
筆者、受講生にブラインドタッチを短期間に習熟させるために、ワープロ速記の技法を取り入れて教えていましたが、筆者、有名な詩を朗読して、それを受講生にタイピングさせます。
そのとき、よく使っていたのが、島崎藤村の詩・・・。金子みすずや中原中也ではなく、なぜ島崎藤村なのか・・・。
中学校・高校の5年間、長野県の女の子と文通していて、カルチャーショックを受けた話をして、そのあと、島崎藤村の詩を朗読(暗唱)しました。よく、島崎藤村の「小諸なる古城のほとり」や「千曲川旅情のうた」を朗読しましたが、10年間で、受講生の中で、その両方を覚えておられた方は、<戦国時代の信州諏訪の由布姫の末裔・・・>と自己紹介された、今日、「春の便り」を送ってくださった方、ただおひとりでした。
教授夫人・・・。今年、講師をされていた、山口県東部産業技術学校の講座が閉鎖になり、職をうしなったとか・・・。
BOOKOFFで入手した、山室静編『島崎藤村詩集』(彌生書房)の最後の詩に、このような詩がありました。
昔より
深志の里は
松葉に清し
その葉をば胸に結ばむ
その葉をば手にもかざさむ
をとめごの心をつなぐ
うら若きしるしともせむ
・・・・・・
昔より
深志の里は
松葉に清し
奥深き学びの道の
遠くとも心燃えなば
縫ふ針の貫く日あり
一筋の直き松の葉
島崎藤村が作詩した、「松本女子職業学校校歌」です。
この5年、信州諏訪の由布姫の末裔の方が、山口県東部産業技術学校でどのような指導をされてきたのか、想像に難くありません。多分、筆者と同じことを経験・・・。
中学校、高校で、学校教師によって、こころ傷つけられ失意の思いをもって入ってきた受講生も少なくありません。
「君、タイピングのセンスいいね・・・」と話したとき、高校を出てすぐ産業技術学校に入ってきた女の子、ケラケラ笑いだしながら、「先生、知ってる? わたし、通っていた商業高校の先生から、あなたはパソコンの操作に向いていないと言われて、検定試験もうけさせてもらえなかったのよ・・・」といいます。
「高校の先生が何いったかはしらないが、君、センスある。3級ではなく、いきなり2級を受けなさい」。
「先生、2級受けて、落ちたらはずかしい・・・」。
「いや、君なら、検定試験2級にストレートに合格できる! 特訓してあげるから・・・」。
他の受講生も、「あなた、2級受けなさいよ。合格して、商業高校の先生、見返してあげたら・・・」と応援していました。
また、男の子だけの講座では、指導もケンカ腰・・・。
「おれたち先公、嫌いなんだよ。なんかいや、成績わりい、能力ねえ、といって人を馬鹿にするから」。
「馬鹿野郎、おれを、そんな先公と一緒にすんな・・・」
「じゃあ、なんで俺たちに教えたり、説教たれたりすんだよ・・・」。
「おれは、職人だ!」。
「ただの職人がパソコンつかえるんかよ」
「そうだよ、職人の意地にかけて、パソコンつかってるんだよ」。
「おれたちでも、パソコンの資格とれるんか・・・」。
「職人のど根性があれば、とれるよ!」
「おい、おまえら、この先公、本気みたいだよ。いっちょ、パソコンの資格、とってみっか・・・」(時々、正規職員の方から、言葉の使い方について注意されていました。そして、「この学校に入ってくる子は、馬鹿ばっかりだから、そんなにむきになっておしえられなくてもいいですよ」というアドバイス付きで・・・)。
次の講座から、受講生たち、筆者のことを「先生」と呼んでいました。ワープロ検定3級、短期間で全員合格・・・。
信州諏訪の由布姫の末裔の方も、5年つとめたということは、同じような経験をしてきた、ということでしょう。こころから、「ご苦労さま・・・」と言わせていただきます。
日本基督教団下松愛隣教会、諏訪のお城のように大きくはありませんが、尋ねてこられませんか・・・? 主日礼拝は、日曜日、午前10時15分から。車で来られても駐車できます。なければ、お隣のおじさんの駐車場をかしてもらいます。
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