黒川みどり編著『部落史研究からの発信』(解放出版社)・・・
筆者、この本を、インターネットの古書店で<古書>として購入しましたが、この本を注文したのは、筆者、黒川みどり氏の研究動向に関心があって、その論文・書籍をすべて入手して読破したいと思っているのですが、残念ながら、なかなか入手できません。
そんな中、黒川みどり編著『部落史研究からの発信』・・・、ということばを目にしますと、筆者、黒川みどりの名前にひかれて、すぐ発注してしまいます。この本の中に、黒川みどり氏の近代部落史研究の新しい動向が記されているのではないかという期待感を持って・・・。
しかし、この黒川みどり編著・・・、実際に手にとってみると、全300ページのうち、黒川みどり氏の論文は、わずか9ページに過ぎません。巻末の文献表をのぞくと、わずか8ページに過ぎません。なにとなく、<騙された!>って感じがします。
解放出版社の、あらたな詐欺手法・・・、と思ったりしますが、黒川みどり<編>・<著>と表記するなら、最低でも15~30%、黒川みどり氏の論文を掲載してほしかったと思います。
この本、『部落史研究からの発信』と題されていますが、どこからどこに向けての発信なのでしょうか・・・?
<どこから>については、<部落史研究から>ということばをみれば何となく分かりますが、それでは、<どこにむけて>の発信なのか・・・、といいますと、本の表紙からは推測することはできません。
<刊行にあたって>を執筆された寺木伸明氏のことばによりますと、「他分野の歴史研究になんらかの発信をしたい・・・」とありますから、この『部落史研究からの発信』・・・、<部落史研究>の世界から、<部落史研究以外のその他の歴史研究>の世界に向けての<発信>のようです。
もっと端的にいいますと、部落史の学者・研究者・教育者がこの20年間に積み重ねてきた研究成果を、一般史あるいは部落史以外の個別史研究に従事する学者・研究者・教育者に認めてほしい・・・、というラブコールのようなものです。
『部落史研究からの発信』・・・、どこからどこに向けての発信・・・? その答えは、部落史の学者・研究者・教育者から、一般史あるいは部落史以外の個別史研究に従事する学者・研究者・教育者に向けての発信・・・。『部落史研究からの発信』・・・、<専門家>から<専門家>にむけての<発信>であって、無学歴・無資格、学問や歴史学に縁のない筆者には無縁の<発信>かもしれません。
筆者、黒川みどり氏の感性・・・、尊敬すべき鋭さを持っていると思ったきたのですが、黒川みどり氏・・・、多くの男性教授と同じように、歳を重ねると共に、<斬新さ>を喪失し、体制順応的な体質を強めていっているようです。
黒川みどりの部落史研究のキーワードである<人種主義>・・・。無学歴・無資格、学問とは無縁な筆者の目からみますと、黒川みどり氏の<人種主義>・・・、次第に核心を大きくそれて、あらぬ方向に迷い出ているような気がします。
黒川みどり氏曰く、「私もまた、差別を産み出す社会の側を問うてきた一人であり、なかでも人種主義というコンテキストで部落問題をとらえたことは、他の差別と共通の土俵に載せるという試みであった・・・」。
数日前、下松の古書店の100円コーナーで、畑博行・水上千之編『国際人権法概論第3版』(有信堂高文社)を入手しましたが、目次と事項索引を一瞥したところでは、<国際人権法>について考えるとき、その<人権>の中に、日本の被差別部落の人々の<人権>について論じる枠組みはなさそうです。部落差別は、<難民差別>でもなければ、<女子差別>でもなく、まして<児童差別>でもない・・・。あえて、日本の被差別部落の人々の<人権>を組み込もうとすると<人種差別>になるのでしょうか・・・。
黒川みどり氏のこれまでの研究の基礎概念であった<人種主義>的研究・・・。その研究の<枠組み>は、他の部落史研究と同じく、「大きく揺さぶられ、もはや解体に瀕するまでにいたっている」のでしょうか・・・。黒川みどり氏・・・、<今こそ部落問題への向き合い方が問われている>といいます。そのためにも、<研究史を振り返ることは必要な作業>であるといいます。
黒川みどり氏のいう<研究史を振り返る>作業・・・、この20数年の回想のようで、明治以降から現在まで、あるいは戦後から現在までを視野に入れたものではなさそうです。
筆者にとっては、黒川みどり編著『部落史研究からの発信』・・・、沖浦和光著『「部落史」論争を読み解く・戦後思想の流れの中で』(解放出版社)にとってかわることができる代物ではなさそうです。
最近のコメント