徳山藩の「上着」に関する統制
部落学序説付論 百姓の目から見た渋染・藍染
(54)徳山藩の「上着」に関する統制・・・
近世幕藩体制下の長州藩の支藩・徳山藩の『衣類定』を図式化してみました。徳山藩の『衣類定』、一見したところでは、適当に箇条を羅列しているように見えますが、<法>として解釈しはじめると、考えに考え抜かれた、衣類に関する体系的な法であることが明らかになってきます。
筆者、無学歴・無資格、しかも歴史学だけでなく法学においても門外漢ですので、筆者の<法>解釈、極めてこころもとないものがありますが、今回、徳山藩の『衣類定』全14箇条(第1~13は、武士身分、第14条は、百姓・町人身分の衣類統制の法令)を、「上着」・「帯襟等」・「下着」・「夏衣類」・「礼服」・「合羽」別に、武士33階級と百姓町人の階級別(身分別)衣類統制の内容を図式化してみました。
| 区分 | 身分 | 武士 | 百姓 | 区分 |
| 家老 | 新調・有合共に木綿着物の強制 | 新調・有合共に木綿着物の強制 | 準格の百姓町人 | |
| 用人 | ||||
| 一般士分 | 馬廻 | 準格の百姓町人 | ||
| 馬廻 | ||||
| 中小姓 | ||||
| 茶道 | 準格の百姓町人 | |||
| 祐筆 | ||||
| 膳部 | ||||
| 別当 | ||||
| 徒士 | 準格の百姓町人 | |||
| 陣僧 | 名字家名持候百姓 | |||
| 持弓 | ||||
| 蔵本付 | ||||
| 細工人 | ||||
| 船手 | ||||
| 小膳部 | ||||
| 中間足軽以下 | 検断 | 百姓 | ||
| 足軽 | ||||
| 足軽組外 | ||||
| 中間 | ||||
| 中間組外 | ||||
| 猟方 | ||||
| 時方 | ||||
| 舸子 | ||||
| 厩之者 | ||||
| 煮方之者 | ||||
| 飯炊之者 | ||||
| 諸細工人 | ||||
| 小人 | ||||
| 挟箱之者 | ||||
| 傘之者 | ||||
| 駕籠之者 | ||||
| 道具之者 | ||||
| 荒仕子 |
元禄期の徳山藩においては、「上着」(通りを歩いていて一番目につく衣類・・・)は、武士身分・百姓町人身分共に、「木綿着物可着之事」と定められています。しかも、「家中面々大小身共・・・」ということですから、藩主をのぞくすべての人は、木綿の「上着」を着用しなければなりません。徳山藩の要職である家老・用人から、武士階級の最下層(「徳山藩士卒階級表」に準拠。この階級表には穢多非人は含まれていない)まで、「上着」は一律、「木綿着物」とされていますので、<平等>的側面がみられます。
そういう意味では、徳山藩の『衣類定』の衣類統制令・・・、「身分統制令」なのか、「倹約令」なのか、速断することはできません。
とりあえず、筆者が作成した、徳山藩の『衣類定』を「上着」・「帯襟等」・「下着」・「夏衣類」・「礼服」・「合羽」別、「武士」・「百姓町人」別に図式化したものを順次紹介させていただくことにしましょう。
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